プラチナバンドと白金との関係

しかし、論文で発表したプラチナバンドの研究成果は、マウスを作製するときに用いた因子の一つが、がん原遺伝子であることが懸念されました。
つまり、プラチナバンド開発のために使用する遺伝子が、細胞内で活性化し、がんが引き起こされる危険性が指摘されたわけです。
また、この遺伝子なしでは、プラチナバンドの樹立効率が落ちるという問題点もあり、多能性が劣ることが指摘されています。
実験データもプラチナバンドはES細胞よりもかなり少なく、今後の研究結果に期待するしかありません。
ただ、プラチナバンドはまだ発明されたばかりなので、今後はこうしたデメリットは解消されていくことでしょう。プラチナバンドは、山中伸弥教授らが2006年に発表したことで、世界中から大きな注目を集めます。
プラチナバンドのデメリットは、強制的に幾つかの遺伝子を導入して作るところにあり、実際、癌化などのリスクがあるところです。
そんなプラチナバンドですが、2007年、山中教授がヒトの作製成功を報告したことから、さらに世界から注目が集まりました。
こうしたデメリットを回避するには、使用するプラチナバンドを厳格に評価する必要があります。
この対策としては、プラチナバンドの作製時に、レトロウイルスやレンチウイルスをベクターして使用する方法があります。
分化能力が低いプラチナバンドを体の細胞に分化させると、目的の細胞に分化しきれないデメリットがあります。

プラチナバンドは、今では様々な作製方法が報告されていて、作製方法により、増殖や分化する能力が違います。
つまり、未分化な細胞が残りやすくなり、結果、残存した未分化細胞がプラチナバンド移植の際に紛れ込むことになります。
しかし、レトロウイルスやレンチウイルスをプラチナバンドのベクターとして使用すると、ウイルスが細胞の染色体のDNAにランダムに組み込まれる危惧があります。